<芹沢 ナル様とお会いできて感じたこと>
澤田 仁美 
6月27日(金)私の待ちに待っていた日がやってきた。
以前より村松代表からお話をうかがい、お会いしたいと願っていたからである。お宅を訪問すると、玄関のちょこっと腰掛けるスペースにご自身で出てきてくださり、温かい笑顔で出迎えてくださった。ご挨拶をしていると、代表が井戸水のことを懐かしく話すと、「まだありますから、手を洗ったりどうぞ」と私達も、井戸水のシャキットした感覚をいただき、以前は訪問時にまずここで手を洗ったりしていたのかあと想像しながら、その場にいなかった私でさえもなぜか懐かしいような実際に経験したような気持ちになってしまった。
居間に入ると、とても広いお庭が手入れされており、芹沢さんのお席は以前ご主人の席だったという、お庭や娘さん宅が見渡せる特等席だった。そこに座ると、お部屋の風の流れも良く、四季折々お庭の風景も楽しまれるだろうし、何よりもお宅の中心的な場所であると感じた。その場所は芹沢さんの存在感と一体化していると思った。
席につかれると、実母を介護し看取った経緯を看護師との関わりを昨日の事のようにお話になった。そして、さりげなく私達がどういう存在で今日訪問させていただいたのか知りたいと興味を持ってくださり、ラーニングスタッフということについてや、ぜひお会いして今までの経験や現在感じていることをうかがいたかったことをお伝えすると「あーなるほどね。それでよくわかったわ。」と関心を寄せてくださった。
私達が自己紹介をしながら、お会いして感じ取りたいことなどつたない言葉で話すと、自然に気持ちを引き出してくださり、その場率直に感じてきることをお話してくださった。
私がとても印象に残っていることは、実母を看病することになったときの経緯をお話になって、訪問看護と出会って、その時の看護を受けていた様子をお話になったときのことである。
「決してこの方(村松代表)たちは、いろんなことを手取り足取り教えてくださることはしなかったの。私達が本当に困ってさあどうしようと思った時に、私達ができる方法をわかりやすく最小限適切に伝えてくださるの。普段あれもこれも言われたとしてもきっとこちらは余裕もないし、受け入れられなかったと思うのよ。だからありがたかったの。」
とかく看護師は、自分達から見て必要なことを受け入れる方の心の準備ができているかお構いなしに進めてしまう傾向があったりするのだが、本当に必要なことを必要なとき必要なだけ受けたという結果のお言葉だと思うと、黒子に徹することの看護の役割を芹沢さんの声を通して感じることができた。私はまた芹沢さんから代表への言葉でとても印象的なのは、
「この方はいつお会いしても変な意味ではなく変わらず、素人っぽいのよね」
という言葉だった。私はすばらしい誉め言葉だと感じた。言葉だけ聞くと、看護師でとても実践経験のあるベテランの人への言葉ではないと思うかもしれないが、いかにその方の生活やその場での看護の環境に溶け込んでいたのか、そしてそれから時は流れて現在までの関係性の中で途切れなく、こちらから与えるということではなく、双方向性の関係として代表が接してこられいろいろ芹沢さんから得ているということだと感じた。「あなたのおかげで」とか今の功績や地位などを称えられることより、私はとても素晴らしいと感じ、また私までうれしくなってしまった。
今回お邪魔しいろいろ自然に芹沢さんと娘さんがもてなしてくださり、すっかり私達は、気持ちを開放していろいろなことをお話の中から感じることができた。デジカメの写真を見たとき、みんながそれぞれとても良い顔をしており、こんなに作った形でなく幸せそうな顔をみんなが揃ってできるのは、芹沢さんのお人柄がそうさせているのだと感じた。「今は、自分がこうして介護を受ける立場になって、ゆったりボーっと夕食前のひとときをテレビを見て過ごせたり、お風呂をヘルパーさんにお手伝いしていただいたりしていることは、本当にありがたいな、もったいないなあと思うのよ。」とおっしゃった。老いてゆくこと、人のお世話になることを悲嘆したり、拒否される方もたくさんいる。しかし、芹沢さんはありがたいと自然でありのままの状況で無理なく受け入れられており感謝している。自然のめぐみとして受け入れられればどんなに自分も自然でいられるか。しかし、与えられた状況に不満足になると抵抗したくなるのが人間でもある。その結果、逆にもがいて苦しくなることもある。私自身、いろいろな困難が出てくるともがいてしまう方である。年を重ね心の面持ちを芹沢さんのように自然な形で受け入れられるようになっていきたいなあと思った。
今回の出会いはとても私の今後の人生の中でもすばらしい出会いになったと思う。人間としてどう心の向きを持ってゆくか、看護の根底の大切な部分を学ぶことができた。芹沢さん、また長女さん本当にありがとうございました。「出会いって素晴らしいですね」この言葉はこれからも常に実感してゆくことだと思います。
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